古民家は、新築に比べて住宅ローンの借り入れが難しいことがあります。
それは、住宅ローンの審査基準に「物件の築年数」が含まれることがあるためです。
しかし、必ずしも住宅ローンが組めないというわけではないので、安心してください。
今回は、古民家が住宅ローンの審査に通りづらい理由や、古民家で利用できる住宅ローン、住宅ローン控除の条件などについて解説します。
「古民家は住宅ローンの審査に通らないらしい」などと聞いたことがないでしょうか?
たしかに、古民家は新築と比べると、住宅ローンの審査のハードルが高めです。
古民家が住宅ローンの審査に通りづらい理由をご紹介します。
住宅ローンは、「購入する住宅を担保にすることで、住宅の購入資金の融資を受けられる金融商品」です。
金融機関は、担保にどのくらいの価値があるかを1つの判断材料にして、融資の可否と融資額を決めます。
そのため、購入する住宅の「担保評価」が融資額を決める上で重要になるのです。
担保評価はさまざまな要因で決まりますが、「築年数」を判断基準の1つにしている金融機関もあります。
この場合、築年数が新しいほど担保評価は高く、築年数が古いほど担保評価が下がるのが一般的です。
築年数が数十年となる古民家の場合、担保評価は低く、場合によっては評価がつかないこともあります。この点が、古民家の住宅ローンが難しいといわれる主な所以です。
古民家を購入する方の中には、自然豊かな場所に移住して新生活を始める方も少なくありません。
その際、転職を伴うことがありますが、住宅ローンの審査において「転職」は不利になることがあります。
転職によって収入が減り、ローンの返済が滞ることを金融機関が懸念するためです。
ほとんどの金融機関は、無事にローンを完済してもらうために「安定した定期収入があること」を条件にしています。
この点において、ヘッドバンティングなど明らかな年収アップが見込める場合を除き、転職をネガティブな要素と捉える金融機関は少なくありません。
いずれにしても住宅ローンを利用するときは、転職のタイミングは慎重に判断しましょう。
住宅ローンの借入先として代表的なのが、一般金融機関と住宅金融支援機構です。
他にも多様な住宅ローンがあり、審査で重視するポイントや借り入れの条件はそれぞれ異なります。
古民家購入で知っておきたい住宅ローンの特徴についてご紹介します。
銀行や信用金庫などの一般金融機関では、金利や保証タイプが異なるさまざまな住宅ローンを取り扱っています。
しかし、一般金融機関の住宅ローンは、古民家購入者にとってハードルが高めです。
担保の評価では築年数と立地を重視する傾向があり、築年数が古く地価の安い場所にあることの多い古民家は、担保の評価を受けづらいのが現状です。
中には申し込みの時点で、「木造の戸建ては築30年以内に限る」と制限を設けている銀行もあります。
また、ローン契約者の勤続年数の長さを重視するのも特徴です。一般的に、1年以上の勤続を求める金融機関が多い傾向にあります。
住宅金融支援機構は、政府全額出資の独立行政法人です。借入期間が長期だったり、全期間固定金利だったりと、資金計画を立てやすい住宅ローンを扱っています。
審査では、物件の立地が不利になることは少ない一方で、購入する物件が住宅金融支援機構の定める技術基準に適合していることが求められます。
つまり、古民家であっても物件検査を通過すれば借り入れができるということです。
ローン契約者への審査基準も一般金融機関より低い傾向で、勤続年数の基準は特にありません。
「フラット35」は、住宅金融支援機構が民間の金融機関と提携して提供する住宅ローンで多くの銀行や信用金庫などで取り扱われています。
返済期間は最長35年、全期間固定金利となり、保証人は不要です。
借り入れのハードルが低めで、安心して利用できる仕組みになっています。
利用にあたっては、物件検査を行い「適合証明書」の取得が求められます。
古民家が適合証明書を取得するためには、修繕やリノベーションが必要になることが多いです。
移住先のJA(農協)が提供するリフォームローンを利用する事例もあります。借り入れの条件となる前年度の年収は200万円以上で、さらに農業者の場合は150万円以上で借り入れが可能です。
ただし、各JAへの加入が必要になります。その他の条件や金額については以下をご参照ください。
住宅ローンの借り入れが難しいときや、他に所有している不動産がある場合は、不動産担保ローンも選択肢の1つになります。
不動産担保ローンは、不動産を担保にして融資を受けるローンです。
住宅ローンも不動産を担保にすることから、広域では不動産担保ローンの一種といえます。
住宅ローンとの大きな違いは、担保とする不動産と資金使途です。
住宅ローンの担保は自己居住用の不動産に限られますが、不動産担保ローンで担保にできる不動産は幅広く、たとえば利用していない土地や駐車場なども担保にすることができます。
資金使途については、住宅ローンが自己居住用のみなのに対し、不動産担保ローンの資金使途は原則自由です。
賃貸併用住宅や開業資金、教育資金、生活資金などにも当てることができます。
ただし、住宅ローンに比べて金利は高い傾向なので、より慎重な返済計画が求められます。
なお、不動産担保ローンは、銀行や信用金庫をはじめ、クレジットカード会社などノンバンク系でも取り扱っています。
古民家の場合、購入費用だけでなく、リフォームやリノベーション費用もかかることがほとんどです。
金融機関によっても異なりますが、概ねリフォーム費用も含めて借り入れできるケースが多くなっています。
たとえば、住宅金融支援機構の「フラット35リノベ」などがあります。
希望する住宅ローンがリフォーム費用に充てられなくても、「リフォームローン」というリフォームに特化したローンもあるので、こちらも検討してみるといいでしょう。
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合に、一定の要件を満たせば、原則10年間にわたり年末のローン残高の1%が所得税などから控除される制度です。
ただし、築20年超の木造住宅で住宅ローン控除を受けるには、新耐震基準に適合していることを示す「耐震基準適合証明書」の提出が求められます。
古民家の場合、新耐震基準をクリアするには大掛かりな改修工事が必要です。
そのため、資金不足により要件を満たせず、控除を受けられないケースも少なくありません。
そんなときは「古民家再生」や「空き家活用」などを目的とした、自治体の補助金制度に注目してみましょう。
工事費用の補助を受けて、新耐震基準を満たす古民家へと改修できるかもしれません。
古民家は、住宅ローンの審査に通りづらい側面はあるものの、住宅ローンや購入する物件の選び方次第で、問題なく融資を受けられることもあります。
住宅ローンの種類は多種多様にあり、住宅ローン控除は税制改正に伴い内容が変更されることがあります。
ご自身で調べつつ、古民家に詳しい専門家のアドバイスやサポートも受けると、より安心して進めることができるでしょう。
ハレノヒ住まいでは資金計画のサポートも行っていますので、ぜひお気軽にご相談ください。