深い軒や広い縁側、木材や漆喰などの天然素材が織りなす素朴な手ざわり。古民家に訪れるとどこかほっとするのは、古き良き日本の趣がたくさんつまっているからでしょう。古民家風住宅を新築して、自分らしい心地よい暮らしを始めてみませんか。
今回は、新築の古民家風住宅の魅力をはじめ、建てる際のポイントや注意点などを解説します。
古民家風住宅とは、昔懐かしい日本家屋をイメージしてつくる住まいのことです。古材を効果的に使い、漆喰などの天然素材を巧みに取り入れます。まずは、そんな古民家風住宅の魅力を見ていきましょう。
古民家風住宅では、実際に古民家などで使われていた木材を活用します。古材はもともと質のいい丈夫な天然木であるうえ、自然乾燥しているため、経年によって強度を増す特性をもっています。
また、漆喰や焼杉なども耐久性に優れた素材で、外壁に用いると古民家の趣が出てきます。たとえば、漆喰は適切なお手入れをすれば、寿命は100年を超えることも。住み継ぐことを前提に建築された古民家の素材は、総じて耐久性に優れていることが多いです。
古民家の佇まいからは、日本の原風景が思い起こされます。たとえば大きな梁や深い軒、日の当たる縁側や広々とした土間。さきほどご紹介した古材、漆喰、焼杉には大量生産される建材にはない趣があります。
新築でありながら、どこか懐かしく心が安らぐデザインは、古民家風住宅の大きな魅力です。古民家風住宅に興味のある方は、こうした古民家ならではの佇まいに心を惹かれることが多いのではないでしょうか。
家を建てるうえで、耐震・断熱・省エネ性などの住宅性能は重要なポイントです。古民家風住宅は、デザインは古民家テイストであるものの、構造や性能は現代基準を採用するため、現在のライフスタイルに合った住まいを手に入れることができます。
古民家暮らしには、古民家リノベーションという選択肢もあります。しかし、リノベーションで現代の性能を求める場合、物件によっては想定以上の手間と費用が必要になるケースも少なくありません。現代の性能を取り入れやすい点は、新築だからこその魅力です。
古民家風住宅を新築するときは、古民家の風情をどのように表現するかがポイントです。内外装デザインと素材選びのコツをご紹介するので、プランを立てるときの参考にしてみてください。
古民家の柱や梁、外壁の木材は、経年変化や柿渋あるいはベンガラなどの天然塗料の発色により、黒や濃褐色であることが多いです。一方、壁には漆喰や珪藻土などが用いられ、いずれも基本は自然な白色をしています。
そのため、内外装ともに壁の白と木材のダークカラーのコントラストを意識すると、古民家の趣がぐっと現れます。新しい木材を使うときは、このように古材の雰囲気に合わせ、あえてレトロな風合いに仕上げる「古色仕上げ」を取り入れるといいでしょう。
白とダークカラーの組み合わせは、和風はもちろん洋風テイストの空間にもマッチします。外壁の色選びや「古色仕上げ」については、以下の記事もご参照ください。
古民家の雰囲気をつくりあげる大きな要素は、木の質感と色合いです。木の存在感を強調するために、梁や柱などの構造材はあえて見せる仕様にし、木材が占める割合を増やします。
また、床には木目のあるフローリングを採用したり、作り付けカウンターなどを無垢材で造作したりすると、いっそう古民家らしさが高まります。家具や照明なども木製にこだわるとなお居間全体の統一感が増すでしょう。
古民家らしさを演出する際、障子も大きな役割を果たします。障子というと畳のお部屋をイメージすることが多いかもしれませんが、無垢材のフローリングとの相性も抜群です。
お部屋の間仕切りとして使うのもいいですが、おすすめはカーテンの代わりに使う方法。障子を透過した光には他の素材にはない柔らかさがあり、古民家らしい落ち着いた雰囲気をつくりあげてくれます。
古い木材や建具も積極的に活用しましょう。古材の経年による風合いや、現代では珍しい建具の職人技が古民家の趣を際立たせてくれます。
古い建具は古民具店などで購入できます。施主様のほうでご用意いただいたり、施工会社と一緒に選んだりとケースバイケースです。施工会社と相談しながら進めていきましょう。
古民家風住宅を新築するときには、依頼する施工会社に確認していただきたいことが2点あります。いずれも理想の古民家風住宅を作るうえで大切なことですので、早い段階で確認しましょう。
まずは、「古材や古い建具を使えるか」です。施工会社のなかには、新材や既製品だけで建築する会社もあります。
古材は新材とは異なる性質を持つため、古材に慣れた職人でないと扱いが難しいものです。また、古い建具はサイズや仕様がまちまちなので、鴨居や敷居の調整が必要になることがあり、敬遠する施工会社も存在します。
ハレノヒ住まいでは、古民家の梁や柱、軒などを再利用して建築した施工実績があります。また、古民家の建具をいくつかストックしているため、施主様のお好みと合えばそれらを使っていただくことも可能です。
もうひとつは、「デザインや仕様の細かな希望を実現してくれるか」という点です。梁を見せる、壁は塗り壁にするなど、おおまかな部分は実現できても、ディティールまでプランに盛り込んでくれる施工会社は限られています。
相談の段階で、使う木材や塗料の種類、細部のつくりや配置などへのこだわりに耳を傾けてくれるか、といった点をしっかりと見極めることが大切です。
以上のことから依頼する施工会社は、注文住宅を手掛ける会社のなかでも自由設計を得意としている会社や、設計士が対応してくれる設計事務所などがおすすめです。
ここまで古民家風の新築住宅について解説してきましたが、実際の古民家をリノベーションして住むという選択肢もあります。築80年超えの古民家の古材を活かして再築した事例をご紹介するので、イメージづくりにお役立てください。
清水区のM様邸です。住まわれていた古民家をいったん解体し、使える古材を活かしながら同じ場所で建て替えました。
外観は、白い漆喰の外壁と黒い瓦屋根のコントラストでシックな雰囲気に。古民家らしい落ち着いた佇まいは、和風住宅の多い周辺環境によく溶け込んでいます。
既存の軒を残した点もポイントです。80年以上住まいを守ってきた存在感のある深い軒は、住まいに風格を与えます。現代住宅には出せない趣です。
ちなみに、建物のコンディションの調査や古材の選別は、ハレノヒ住まいに在籍する古民家鑑定士、伝統再築士、古材鑑定士が担当。専門家が対応するので安心してお任せいただけます。
居住空間は、現代のライフスタイルに寄り添った仕様にしました。床は無垢のフローリングにし、水回りには最新のシステムキッチンやバスルームを導入。使い勝手が格段に上がり、暮らしやすさを実感いただいています。
意匠としてのこだわりは、既存の梁を十分に活かしつつ、フローリングと梁の色を合わせて空間に統一感を出した点です。また、外観と同様、白とダークカラーでまとめることで、古民家の風情も大切にしました。
もともと使っていた建具をきれいにし、再利用した点もポイントです。古い建具はデザイン性の高いものが多いため、奇をてらった間取りや造作をせずとも、オリジナリティを演出できます。
古民家風住宅の新築は、古民家ならではの風情と、現代の住宅性能を併せ持ったハイブリッドな住まいです。ゆっくりと時間が流れるような癒しの住空間を求めている方にとって、ぴったりの住まいといえるでしょう。
ハレノヒ住まいでは、古民家風住宅の新築と古民家リノベーションの両方を手掛けることが可能です。古材や古民家の構造を熟知したスタッフが設計・施工にあたるため、満足いただける家づくりができると自負しております。
興味のある方は、ぜひお気軽にお声がけください。