• 古民家の基礎知識

古民家の床の張り替え方法と費用を解説

「板張りの床が傷んできたから改修したい」「畳からフローリングにして雰囲気を変えたい」など、古民家の床リフォームを検討されている方はいませんか。

床は生活の影響を受けやすい箇所であるとともに、選ぶ材質によって雰囲気をガラリと変えることができます。

今回は、古民家の床の張り替え方法と費用相場についてご紹介します。また、古民家の床を自分で張り替えたい、修理したいと思っている方に向けて、DIYも可能なのかといった点も併せて確認していきましょう。

古民家の床を張り替える方法と費用

古民家の床の張り替え方法は、既存の床を剥がして新しい床材に張り替える方法と、既存の床の上に新しい床材を重ねて張る方法の2通りあります。それぞれのメリット・デメリット、費用相場を見ていきましょう。

既存の床を剥がして新しい床に張り替える場合

元々の床材を剥がしてから新しい床材を張る方法です。古民家の場合、床下の老朽化が進んでいることが少なくありません。そのため、床材を剥がして下地や床組みの状態をチェックできる点は、大きな安心感につながります。必要に応じて修繕すれば、以降も長く住むことができるでしょう。

ただ、工事規模が大きくなり、古い床材の撤去費用もかかるため、次で紹介する重ね張りより費用がかさむ点はデメリットといえます。

フローリングへの張り替えを業者に依頼したときの費用相場は、8畳で10万~20万円程度。元の床材が畳の場合は、やや高めになる傾向にあります。

畳はフローリングよりも厚さがあるため、床のかさ上げが必要になることも。また、新しい床の材質・色にこだわったり、下地や床組みの修繕が必要だったりする場合は、その分費用がかかります。

業者に依頼する場合、どのような工事が行われるか知っておくと安心です。ここからは、フローリングに張り替えるときの手順を簡単にご紹介します。

1.既存の床を剥がす

既存の床材を剥がすことからスタートです。床材を取り払い、床下に異常がないか細かくチェックします。

築年数の経った古民家は、床の下地や床組み(構造材)が腐食してしまっていることがあります。この傷みの原因になっているのが、地面から上がる湿気。古民家の基礎はコンクリートに覆われていないため、土壌や周囲の環境によって土から上がる湿気の影響を受けやすいです

床下の異常は床材を剥がしてみて初めて分かることが多いもの。室内に湿気が溜まりやすい古民家は、床下が劣化している可能性があるので注意しましょう。

2.床組みを新しくする

床下の状態を確認し、床組みが傷んでいる場合は新しいものに差し替えます。具体的には束(つか)、大引き(おおびき)、根太(ねだ)という構造材を新しい木材で作り、取り付けます。

束や大引き、根太を新しくするときは高さ調整が肝。きちんと施工しないと床が傾いてしまうため、職人の腕の見せ所です。

3.湿気・寒さ対策をして下地を作る

必要に応じて湿気対策も実施。地面に防湿シートを敷いたりコンクリートを打設したりして、構造材に湿気が触れないようにしていきます。

また、古民家は冬の寒さが気になることが多いもの。ご希望に応じて断熱材を入れることもあります。寒さ対策をしたい方は、床リフォームが良い機会になるでしょう。

湿気対策と寒さ対策を行い、合板下地を取り付けたら、床下の工事は完了です。

4.新しい床材を張る

いよいよ新しい床材を張っていきます。フローリングを張るときは、根太にしっかり固定するのがポイントです。この作業が甘いと床にゆがみやたわみが生まれやすくなり、美しく仕上がらないだけでなく、つまずくなどしてケガにつながる危険もあります。

床材を張る工程も技術をもったプロでないと難しいところです。

重ね張りの場合

床の劣化が表面の傷や色褪せのみであれば、元々の床材の上に新しい床材を重ねて張る方法も選べます。重ね張りでは床材を剥がす工程がなく、撤去費用もかからないため、張り替えに比べて工期や費用を抑えられる点がメリットです。

ただ、床板が二重になるため、床に高さが出る点には注意しましょう。ドアの開閉に支障が出たり、他の部屋と段差が生じたりして使いにくいと感じることがあります

フローリングの重ね張りを業者に依頼したときの費用相場は、8畳で10万~15万円程度です 。こちらも新しい床材の材質・色によって費用に幅が生まれます。キッチンやトイレ、洗面所などの水回りの床であれば、耐水性がありフローリングより安価なクッションフロアやフロアタイルもおすすめです。

なお、重ね張りは既存の床がフローリングのときにだけ行える方法です。既存の床が畳の場合は、先にご紹介した張り替えで対応することになります。

古民家の床の張り替え事例

築80年の旅館のリフォーム事例をご紹介します。「20畳が2間続く宴会場の畳がへこんでいるので直して欲しい」というのが、そもそものご依頼内容でした。

【Before】

【After】

畳をめくってみると、下地の合板から根太や大引き、束まで腐食が進んでいる状態。傷みの原因はやはり湿気です。 結果、床下を総リフォームしてフローリングに張り替えました

構造材が腐食する前に湿気対策ができれば、軽度の修繕で済んだ可能性もあります。風通しや日当たりが悪く湿気が溜まりやすい環境にある古民家は、床下の状態にも配慮することが大切です。

古民家の床の張り替えはDIYでも可能?

古民家の床をDIYで修理・リフォームしたいとお考えの方もいらっしゃると思いますが、家の寿命と安全性の観点からあまりおすすめできません。まずは、古民家改修の実績のある施工会社に相談することをおすすめします

経年による老朽化が否めない古民家は、どんなリフォームにおいても、事前に専門家が状態をチェックしたうえで工事を行うのが基本です。知識や技術のない人が工事にあたると、家の不具合を見逃したり、安全性に不安が残ったりしてしまいます。

また、張り替え、重ね張りともに、古民家への施工は難易度が高いです。古民家の構造材は木材でできており、木材は収縮と膨張を繰り返す特性を持つもの。そのため、新しい床材を部屋の四隅にぴったりと収めたり水平に張ったりする作業には、それなりの技術が求められます。

古民家の床の張り替え方法と費用まとめ

古民家はきちんとお手入れすれば、長く住み続けられる住まいです。床リフォームは床下の状態をチェックできるいい機会ともいえるため、住まいのメンテナンスのためにも、適切な診断を受けて工事を進めましょう。

また、新しい床材を決める際は、その部屋の用途や使う頻度を考慮するのもポイントです。

ハレノヒ住まいでは古民家鑑定士が設計にあたり、その古民家に最適な方法でリフォームを進めてまいります。床の張り替えを検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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