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古民家の土壁を補修したい!リフォームの方法と費用相場を解説

土壁は年月が経つとポロポロと崩れてくることがあるため、古民家に住まわれているのであれば、適切な補修方法を知っておくと安心です。

補修の方法には、珪藻土や漆喰で塗り直す方法、クロスや無垢材などの異素材に張り替える方法などがあり、それぞれに良い面があります。


土壁補修の方法や特徴、補修費用の相場、土壁のメリットとデメリットなどを解説します。

古民家の土壁を補修する方法

土壁をリフォームするときは、見た目の美しさに加え、機能性も考慮すると古民家暮らしの良さを一層実感できます。

たとえば、調湿機能や通気性に優れた素材を土壁に利用すれば、夏は涼しく冬は暖かく過ごすことができます。

それぞれの補修方法で主に使用される素材の特長をご紹介するので、参考にしてください。


塗り直し

珪藻土

珪藻土は、珪藻(けいそう)という植物性プランクトンの殻が化石になって固まった土のことです。

近年注目を集める天然素材で、インテリアや生活雑貨などにも取り入れられています。

珪藻土の魅力は、吸水力の高さです。土壁に用いれば、高い調湿作用や通気性を発揮します。

また、珪藻土は細かい穴が開いた多孔質材料です。内部に空気をたくさん含んでいるため、断熱材のような役割も備えています。

質感はざらりとしていて、素朴で独特の風合いが魅力です。


漆喰

 

漆喰は約5000年も前から使われていたとされる天然素材です。日本の歴史的建築物にも使用されています。

 

石灰岩を焼いてつくられ、PH値は強アルカリ性です。そのため抗菌作用に優れ、カビや菌の発生を抑えるとともに、劣化しづらいという特性を持ち合わせています。

 表面はつるつるとした質感で、手触りが心地よく、ほこりが付着しづらいため、美しい状態をキープしやすい素材です。


その他の土

珪藻土や漆喰以外にも、土壁に用いられる土はさまざまあります。

元々住まいはその土地で調達できる材料を使って作られてきました。たとえば、赤土や黒土と呼ばれる土が当てはまります。


地元で調達できる材料は、その土地の気候や風土に合った性質をもっている点が魅力です。

現代では入手しづらくなっているかもしれませんが、古民家の壁に使用したいという方はリフォーム会社に相談してみるといいでしょう。

離れた土地の土でも、施工業者のネットワークを活かして取り寄せることができるかもしれません。


張り替え

クロス張り

土壁の塗り直しは、職人の手作業で行われるため時間を要します。もっと手軽にきれいにしたいときは、クロスに張り替えるのも1つの方法です。

 もとの土壁を平らに補修してからクロスを張っていくやり方と、石膏ボードなどを取り付けてからクロスを張っていくやり方の2パターンがあります。

 

クロスの種類は多種多様なので、選ぶ楽しさもあります。近年は珪藻土の質感を再現した「珪藻土クロス」もよく使われる傾向です。

珪藻土のような調湿性はありませんが、安価かつ短い工期で施工できます。色や柄、機能性など、リフォーム会社といろいろ相談しながら決めていくといいでしょう。


板張り

クロスではなく、無垢材を張る方法もあります。無垢材の壁は、当然ながら木をふんだんに使った古民家との相性が抜群です。

経年変化が味わいになり、古民家の佇まいにマッチします。

 他の素材にはない無垢材ならではの良さは、木の手触りや香りが楽しめる点です。壁に何かを取り付けたり貼ったりと、使い勝手の良さも魅力でしょう。

 

また、無垢材は調湿機能もあるため、心地のいい空間づくりにも役立ちます。


石張り

日本の古民家ではあまり馴染みがありませんが、西洋の古民家でよく用いられているのが天然石の壁です。

 天然石は、耐火、耐水、耐久性に優れています。劣化しづらく、お手入れの手間もなく、洗練された高級感を演出してくれます。

 

壁に使われる天然石の種類としては、消臭機能に優れたコーラルストーン、硬度が高く水に強い御影石、光沢と美しい模様が特徴的な大理石などがあります。


DIY

土壁のリフォーム費用を抑えたいときは、DIYで行うのも一手です。

補修の程度が軽度であればプロでなくても対応でき、手作り感がいい味になることもあります。

ただし全面的な塗り直しや張り替えは難易度が高く、DIYでは限界を感じるかもしれません。

特に漆喰は乾燥が早いため、美しく仕上げるのは至難の業です。

また、壁を解体してのDIYは、思わぬ事故につながりかねないため危険度が高くおすすめできません。DIYでは自分ができる範囲を見極め、安全第一に行なうことを優先しましょう。


古民家の土壁補修|費用相場

土壁のリフォーム方法として、塗り直しや張り替えなどをご紹介してきました。

素材ごとの機能や仕上がりの違いを押さえたら、次は予算も踏まえて具体的に検討していきましょう。

古民家の土壁リフォームの費用目安をご紹介します。


塗り直しが最も高価

最も費用が高くなるのは、土壁を塗り直す補修方法です。漆喰や珪藻土などの材料費に加え、特別な技術をもつ左官職人の手配が必要になります。

依頼する業者によって異なりますが、一般的な費用相場は以下のとおりです。


施工内容費用(1平米あたり)
漆喰に塗り直した場合4,000円〜8,000円程度
珪藻土に塗り直した場合6,000円〜11,000円程度
※材料費、下地処理、作業費を含んだ金額です

漆喰は、材料費は安価なことが多いですが、下塗り、中塗り、乾燥など細かな作業工程が求められます。

一方、珪藻土は材料費が高価になる傾向です。種類によって価格に幅がありますが、材料の珪藻土だけで1平米3,000円程度かかることもあります。


クロス張りは比較的安価

プロに依頼して土壁リフォームをするとき、最も費用を抑えやすいのがクロス張りです。

土壁にクロスを直接張っていく場合の費用相場は、以下のとおりです。

クロスの材質具体的な種類平米単価
紙クロス和紙1,500円〜
撥水・防汚加工された紙2,000円〜
ビニールクロス量産クロス1,200円〜1,500円
中級品クロス1,500〜1,800円
布クロスレーヨン素材1,500円〜
不織布素材2,500円〜
シルク素材10,000円〜
木製クロス天然木を薄くスライスしたクロス3,000円〜
珪藻土クロス壁紙に珪藻土を貼ったクロス1,200~1,500円
※材料費、下地処理、作業費を含んだ金額です

ただし、もとの土壁の損傷が激しい場合は、追加作業が発生する可能性が高いです。

リフォーム会社に現状を確認してもらったうえで、見積もり依頼をしましょう。


土壁のメリット・デメリット

日本の伝統工法によってつくられた土壁は、日本の気候風土に適した素晴らしい性質をもっています。

一方で、欠点がないわけでもありません。

土壁のメリットとデメリットを理解して、後悔のないリフォームを実現しましょう。


メリット

日々の暮らしで土壁の良さを最も実感できるのは、土壁の「調湿機能」による心地よい空気環境です。

湿度の高い季節は空気中の水分を吸収し、乾燥している季節は水分を放出して、湿度を自然にコントロール。

水分だけでなく空気の通気性も良いため、窓を開けずとも換気ができ、カビの発生を防いでくれます。


また、強アルカリ性である漆喰には「抗菌機能」が期待できます。劣化を防げるため、きちんとお手入れをすれば100年以上使い続けられるほどです。

さらに、土壁は土や砂など不燃材でできていることから「防火機能」も備えています。万が一火災が起きたときも、有害な化学物質を発生させません。


 その他アレルギー対策としても有効なので、せきやアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、目のかゆみなど、さまざまなアレルギー症状にお悩みの方にもおすすめです。


デメリット

土壁のデメリットは、他の壁材と比べて手間がかかる点です。

土壁は衝撃に弱く、経年劣化によってヒビ割が入ることがあるため、定期的なメンテナンスが欠かせません。

ただ、損傷をその都度カバーすれば、大掛かりな補修を行わずとも長く使えるということでもあります。

全面補修する際は一般的なクロスと比べて補修費用が高く、工期が長くなるので注意が必要です。

古民家の場合は下地が傷んでいることが多く、その場合は下地補修の工事も必要になります。


また、職人の技量によって仕上がりに差が出やすい点もデメリットの1つです。仕上がりの違いは壁の強度にも影響してくるため、依頼する業者の見極めが大事になってきます。


機能性にもこだわった素材で古民家の土壁を補修しよう

日本の伝統的な建築物では当たり前に使われてきた土壁。見た目の美しさはもちろん、調湿や抗菌など優れた機能をもつ土壁は、今あらためて注目されています。

適切な土壁補修を行ない、古民家で「住み継ぐ暮らし」を始めてみませんか。

ハレノヒ住まいでは、古民家の良さを活かしつつ、現代の暮らしに合ったリノベーションを行なっています。

土壁補修も手がけていますので、興味のある方はぜひお気軽にお声がけください。

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