• 古民家の基礎知識

古民家の床下の特徴・問題点と適切な湿気対策の方法

日本の気候風土に寄り添って造られた古民家は、床下にも古民家ならではの特徴があります。リフォームを検討されるときは、古民家の床下の構造を知り、問題になりやすい点と適切な対策方法を知っておくと安心です。

この記事では、古民家の床下の特徴と問題点をはじめ、特に押さえておきたい湿気対策について解説します。

古民家の床下の特徴



伝統構法で建てられた古民家の基礎は、「石場建て工法」という、石の上に柱を乗せたつくりになっています。地面は土で、使う素材は石と無垢材のみ。無垢材は丸太のまま使用されていることが多く、木と木の間に隙間が多いのが特徴です

これは、外の風を取り込んで湿気を逃す工夫と、古民家で採用されている免震構造によるものです。シンプルなつくりなので風通しがよく、長持ちする構造になっています。

一方、現代住宅は耐震構造のため、基礎には木材と鉄筋コンクリートを使用。全面をコンクリートで埋めたベタ基礎も普及しています。通気口をつくって換気をし、断熱機能をもたせるなど、複雑な構造になっているのが特徴です。

古民家の床下のよくある問題点


古民家の床下で発生しやすい問題点について見ていきましょう。すべての古民家で生じるわけではありませんが、周辺の自然環境や土地の性質、増改築や室内環境によって、以下のような問題が起こることがあります。

木材が腐食している


古民家は湿気を逃すつくりだと説明しましたが、何らかの影響で風通しが悪くなったり、湿気がたまりやすい環境になったりすると、木材の腐食が起こります。たとえば、以下のような環境が木材の腐朽につながっていると考えられます。

● 周辺の山で日差しが遮られ、いつもじめじめしている
● 土壌の水はけが悪く、床下の土が乾かない
● 増改築や獣止めの板などで床下の通気が妨げられている
● 過剰な暖房によって床下に結露が生じている

木が腐ってしまうのは、主にシロアリと木材腐朽菌が原因です。これらは湿度が高く暗い場所を好みます。上記のような環境になった古民家の床下は、格好の場所になってしまうのです。

木材の腐食は言うまでもなく、家の耐久性に大きな影響を与えるもの。木でできた古民家は、シロアリと木材腐朽菌が活発に活動しない環境づくりが非常に重要となってくるのです

カビくさい


湿度が高く、暗くじめじめした場所はカビが繁殖しやすい環境でもあります。古民家リフォームの際に床下を開けると、カビのニオイが家中に充満してしまうことも。特に高温多湿になる梅雨時は注意が必要です。

カビも木材腐朽菌も菌類という点は同じですが、カビは木材腐朽菌と違って木材を腐朽させることはありません。木材の表面で繁殖し、空気に浮遊します。そのため、住まいよりも人への影響が懸念されます。

また、カビが繁殖しているということは、シロアリや木材腐朽菌が活発に活動しやすい環境であるといえます。実際、カビのニオイがする床下は、シロアリや木材腐朽菌の影響を受けているケースが多いもの。そういった意味では、カビは家の劣化を見極めるひとつのサインになります。

古民家の床下は湿気対策が肝心

古民家の床下は湿気対策が重要だということがお分かりいただけたかと思います。ここからは、古民家におすすめの湿気対策について見ていきましょう。主に6つの方法があります。

防湿シートを敷く


まずは、床下に防湿シートを敷く方法です。床下の地面全体に敷き込むことで、地面から上がる湿気を防ぎます。防湿シートには、ポリエチレンやEVA樹脂が使われているため、シートが腐ることはありません。

防湿シートを敷き込むときは、まず床組みを撤去し、地面にある石や砂利を取り除きます。シロアリ対策のために、除草剤や防蟻剤の散布も実施。床下の隅々までシートを敷き詰め、つなぎ目はテープでしっかりと留めます。シートが浮かないよう、重りとして石や砂利などを置けば完成です。

注意点は、土壌の水はけが悪すぎる場合は、防湿シートの内側に湿度がたまり、逆効果になってしまう可能性があることです。古民家改修に詳しい施工会社と相談しながら進めていきましょう

調湿材を敷く

続いて、調湿材を敷く方法です。調湿材の材質には、ゼオライトや木炭、セラミック炭などさまざまあり、これらは湿度が高いときは水分を吸収し、乾燥しているときは水分を放出する性質をもっています。形状としては、不織布などの袋に詰められているものが一般的です。

調湿材の敷き込みは、床組みを残したままできるため、防湿シートの施工よりも手間とコストを抑えやすいという特徴があります。あるいは、防湿シートと調湿材をセットで施工するケースも。床下の状態に応じて判断します。

調湿材の中には、防カビ、防虫、脱臭効果が期待できるものもあるので、いろいろ検討してみるといいでしょう。

防湿土間コンクリートの打設

防湿シートを敷き詰めたあと、コンクリートを打設する方法です。コンクリートを打つことで、地面と床下の隙間をシャットアウトすることが目的です。隙間をなくすことで地面からの湿気はもちろん、シロアリが上がってくることも防ぎやすくなります

防湿シートの敷き詰め+コンクリートの打ち込みという施工になるため、ご紹介する湿気対策の中では最もコストがかかります。しかしその分、湿気対策やシロアリ対策に高い効果が期待できるため、古民家改修でよく採用される方法です。

ちなみに、床下の地面と立ち上がり部分をすべてコンクリートで固める「ベタ基礎」とは異なります。

床下換気扇を設置する


床下に換気扇を設置する方法もあります。強制的に風を送り込み、停滞した湿気を逃すことが目的です。電源が必要になりますが、中にはソーラー発電タイプのものもあります。

床下換気扇の種類にもよりますが、一般的には一軒あたり2〜4台設置します。効率よく風が流れる道を計算して配置していきましょう。なかなか湿気がとれない場合は、床下の真ん中に拡散用の換気扇を置くと効率が上がります

ご紹介したほかの湿気対策よりも比較的簡単にできる方法ですが、換気扇をずっと回し続けなければならないのが難点です。また、湿気がひどい場合は換気扇を置いても効果を感じないケースも。抜本的に湿気を除去したいときは、別の方法を検討したほうがいいでしょう。

石垣を埋めないようにする

古民家の土台は石積み造り(石垣)になっていることが多いですが、この石垣をコンクリートなどで埋めてしまっているケースが見られます。石垣は土台を固めるほか、その隙間から、土が含んだ水を効率よく排出する役目を担っています。水分の抜け道を防げば、当然湿気はたまりやすくなってしまいます。

また、床下に小動物が侵入しないために板を取り付ける場合も注意が必要です。完全に塞いでしまうのではなく、通気が確保できるようにしましょう。すでに獣止めの板を設置されている場合は、空気の流れが遮断されていないか確認してみてください。

増改築をした古民家では、意図せずに通気が妨げられてしまっていることがあります。湿気が気になる場合は、古民家の構造を理解した施工会社に見てもらい、改善点などを教えてもらうのもおすすめです。

補足:通気性が十分ならコンクリートを基礎にする必要はない

シロアリや木材腐朽菌対策のために、床下をすべてコンクリートで埋めるベタ基礎を検討されている方もいるかもしれません。結論からいうと、通気が十分にあればベタ基礎は不要です。古民家の床下は、基本的に通気に優れたつくりになっています。

通気を妨げているものはないか確認し、そのうえで、今回ご紹介したような地面から上がってくる湿気を抑える方法を取り入れてみるといいでしょう。

ただし、再築を検討されているのならベタ基礎もひとつの選択肢です。施工会社と相談のうえ、より良い方法を選んでください。

古民家の床下の特徴と湿気対策まとめ

湿気がたまりやすい環境が整うと、木造住宅である古民家はその影響を大きく受けてしまいます。まずは床下がどのような状況になっているのかを確認し、状況に応じた湿気対策を検討していきましょう。

ハレノヒ住まいは古民家リノベーションを専門に行なっている会社です。伝統構法の良さを活かし、現代に合わせた機能も補いながら、住み心地のいい古民家に仕上げていきます。湿気対策をはじめ、断熱性や耐震性など、古民家暮らしをするうえで不安に感じることがありましたら、お気軽にご相談ください。

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