• 古民家の基礎知識

寒い古民家をリノベーションで断熱!ポイントや費用相場を解説

現代の家屋との構造の違いから、冷えやすいとされる古民家ですが、断熱仕様にリノベーションをすれば冬でも暖かく過ごすことができます。

リノベーションのポイントを押さえて、古民家で冬を快適に過ごしましょう。

古民家の断熱工事の詳細と費用相場について解説します。


古民家の構造に合わせて断熱リフォームしよう

古民家は構造上、現代の家屋よりも冷えやすい特徴があります。寒くなる原因は主に床や天井、壁にあるので、それらに断熱材を使うと効果的です。

また断熱に加えて、結露についても対策が必要です。防湿も同時に行うことで、断熱材の効果も高まります。


床の断熱で底冷えを解消

古民家は床の下が空洞になっているので、室内が冷えやすくなっています。元の床材の状態に合わせて必要な防寒対策を行ないましょう。


断熱材の下には防湿シートを張る

床の断熱には、断熱シートや断熱ボードといった断熱材を敷くのが一般的です。古民家は床板が1枚だけというつくりの場合が多く、この場合は下地工事が必要になります。断熱材は湿気に弱いので、断熱材の下には必ず防湿シートを貼ります。


元の床板を活かした断熱も可能

床板をめくって断熱材を入れなくても、床下からの吹き付け断熱という施工で断熱対策がで可能です。

また、コーキング作業で床板の隙間を埋めて隙間風を減らして断熱する方法もあります。既存の床の

状態に合わせて、張り替えの必要を検討しましょう。


天井の断熱には屋根もチェック

天井の断熱リフォームでは、天井裏が広くて強度がある場合には天井を剥がさずに断熱材を入れますが、ない場合には天井を剥がして施工します。

また天井の寒さ対策では、併せて屋根の状態も確認することが大切です。


2種類の断熱方法

天井裏の断熱には大きく2種類の方法があります。

1つ目はパネル状や袋入りの断熱材を敷き詰めていく方法です。比較的安価に施工できますが、配線や骨組みなどの障害物があるため、隙間なく敷き詰めるのは熟練した技術が必要になります。

2つ目は、綿状の断熱材を吹き込む方法です。1つ目と比べて施工費用は高価ですが、天井裏の広さや強度に関わらず施工できます。ただし、ダウンライトが埋め込まれているなど引火の恐れがある場合は施工できないこともあります。

安全な断熱工事のために、いずれの方法でも古民家リフォーム経験のある業者に相談するのがおすすめです。


気密シートを張って熱を逃がさない

天井には所々に壁との隙間があり、その中を気流が移動しています。天井裏の熱や冷気が壁に伝わると、断熱効果の低下や結露の原因に。

そこで、いずれの断熱方法でも、必ず断熱材の上に「気密シート」を貼って「気流止め」をし、温かい空気を室内に留めます。


屋根の状態もチェック

住宅の断熱材として広く使われている「グラスウール」をはじめ、断熱材は濡れると断熱機能を失うものがあります。

そのため、天井の断熱工事では雨漏りの危険性も必ずチェックし、必要に応じて屋根の補修を行なうことが大切です。


吸水性のある壁素材で結露対策

壁は床・天井・窓など多くの部分と繋がっているため、解体すると他の部材を傷つけてしまう可能性があります。そのため、既存の壁の上から断熱材を入れます。

リノベーションの際に、壁材自体に吸水性のある自然素材を使うと、断熱に伴って発生しうる結露の対策になります。

例えば木材や漆喰、珪藻土壁なら高い吸水性に加えて熱伝導率も低いので、断熱と結露両方の対策が可能です。

「調湿建材」とも呼ばれるこれらの素材は、古民家でよく使われる木や石といった自然素材と相性が良いので、取り入れやすいでしょう。


窓にも断熱向きの部材で隙間風を防ぐ

窓はガラスの表面や枠を通じて熱が出入りしやすいため、同じ面に位置する壁よりも断熱性能が低く、寒さの大きな要因になりやすいです。

ただ、室外に熱が逃げるのを防ぐ構造や窓枠素材で、窓も断熱仕様にすることができます。


複層ガラスや二枚窓で隙間風対策

古民家の窓は多くの場合、単層で薄いガラスです。窓枠がないことも多く、隙間風の原因になります。

隙間風をはじめとした窓の寒さ対策に効果的なのが、複層ガラスや二枚窓です。

複層ガラスは既存のサッシに高性能なガラスを差し込み、ガラス面の結露を減少させる効果があります。

二枚窓は、既存のサッシに加えて内側に新たにインナーサッシを取り付けて断熱性をアップ。隙間風の防止も期待できます。

古民家の中には、すりガラスや模様入りの板ガラスなど、現代では貴重なガラスが使われていることもあるかもしれません。

二枚窓は、こうした既存のガラスのデザインを活かしたいときにも採用されます。


サッシには熱を伝えにくい樹脂製や木製を使用

アルミは熱伝導率が高いため、夏に熱く、冬に冷たくなります。

サッシが熱の逃げ場になるので、暖房効果も低下。

また冬に冷たくなったサッシが室内の暖かい空気に触れると、結露の原因にもなります。

そこで使用するのが、樹脂製や木製のサッシです。これらの素材は熱伝導率が低いので、家の熱エネルギーを屋外に逃がしません。


断熱リフォームの費用相場

断熱リフォームにかかる費用は、家の広さや状態、リフォーム範囲、断熱材の種類によって様々です。

リフォーム範囲や断熱材の種類ごとの一般的な費用相場をご紹介するので、資金計画の参考にしてください。


家全体にかかる費用相場

家の広さや状態によって幅はありますが、家全体を断熱リフォームする場合の費用相場は、500万~1000万円です。

この費用には断熱工事のほか、断熱状態を調べる診断、また断熱工事に関連した下地や仕上げの工事も含まれています。


部分的リフォームの費用相場

窓や床、天井・壁それぞれの断熱工事をすることも可能です。工事する場所や使用する断熱材によって費用相場は異なります。各費用相場は以下の通りです。


窓やサッシの断熱工事

窓やサッシの断熱工事の費用相場は、1箇所あたり10万~30万円です。窓は住宅の他の部分に比べて特に断熱性能が低く寒さの原因になりやすいので、窓を断熱工事するだけでも寒さが改善するかもしれません。


種類別|断熱材の費用相場

天井や壁の断熱工事の費用相場は、使用する断熱材の種類によって異なります。6畳間の断熱工事をした場合の、断熱材ごとの費用相場は以下の表の通りです。

断熱材費用相場(6畳の1部屋あたり)
グラスウール5万~10万円
断熱ボード10万~30万円
発泡ウレタン30万~40万円

なお、床の断熱には一般的に断熱ボードを使います。床下に断熱ボードを貼る工事の費用相場は、1部屋(6畳)あたり5万~10万円です。


費用を安く抑えることはできるの?

工事費用を安く抑えるために、安くできる工事だけを選んでしまうケースがあります。ただ、工事費が安い部分を取り急ぎ工事しても、寒さがほとんど改善されない可能性があります。工事箇所は費用から選ぶのではなく、寒さの根本になっている部分を優先的に選ぶのがポイントです。

なお、内窓や断熱材の設置といった断熱工事には、国からの補助金を利用できます。リフォーム費用の3分の1が補助されるのでぜひご利用ください。


「環境省ホームページ|「既存住宅における断熱リフォーム・ZEH化支援事業」>>


古民家のリフォームに使える補助金・減税制度を詳しく解説!>>


施工業者による断熱リフォームで、確かな寒さ対策を

断熱リフォームをする際は、気密シートをはじめとした「気流止め」対策をセットで行いましょう。暖かい空気を室内にしっかり閉じ込めて空気中の飽和水蒸気量を増やせば、結露対策になります。

結露を防ぐ断熱は家全体の構造にも関わる高度な技術なので、DIYよりも古民家の施工経験のある施工会社に依頼するのが安全です。

ハレノヒ住まいはこれまで、数々の古民家のリノベーションに携わっています。施工経験をもとに、お客様のご要望に最適なご提案が可能です。

寒さ対策をはじめ、古民家暮らしに関するどんな些細なお悩みも、お気軽にご相談ください。

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