• 古民家の基礎知識

古民家差し上げますって本当?無料で譲り受ける物件にかかる費用

「古民家無料で差し上げます」。

こんなフレーズを見たり聞いたりしたことがないでしょうか?

一見お得に見えますが、実際には登記やリノベーション費用がかかるため、「無料」だと思っていると大きな失敗につながりかねません。

また、個人的な物件のやりとりはトラブルに繋がる可能性もあり危険です。

今回は、古民家が無料でもらえる背景や、もらった後にかかる諸費用を解説します。古民家暮らしの計画を立てる参考にしてください。


古民家物件が無料でもらえる理由

一昔前では珍しかった古民家の無料提供ですが、近年は増加傾向にあります。

無料で明け渡される物件には、放置やメンテナンス困難など、さまざまな背景があります。

実際に住むにはリノベーション費用などが嵩むので、資金計画には注意が必要です。


放置空き家が田舎に増加

空き家の無償提供が増えている背景のひとつが、放置空き家の増加です。


「空家等対策の推進に関する特別措置法の概要」では、「適切な管理が行なわれていない空家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしており、(中略)空家等の活用のため対応が必要」と記載されています。

平成26年には施策の一環として「空家及びその跡地の活用」が掲げられ、市町村が空き家やその跡地を活用する対策を実施することが決められました。


現在、静岡市では「空き家バンク」や空き家に関する相談窓口を開設するなどの具体的な取り組みをしています。

空き家バンクの物件の中には有料なものもありますすが、巷で見られる古民家無料提供の背景には、市町村が対策を立てるほど空き家が増加しているという現状があるのです。


国土交通省公式ホームページ|空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報>>


静岡市公式ホームページ|静岡市空き家情報バンク物件情報>>


管理費用がかかる空き家を無料で提供

空き家の管理には、お金や労力がかかります。

定期的な掃除や換気、草むしりなどのメンテナンスは、特に遠方の管理者にとっては大きな負担です。

空き家管理の代行サービスを依頼するにしても費用がかかり、固定資産税と合わせると持っているだけで管理費用が嵩んでしまいます。

このような背景から、「無料でもよいから誰かに譲ってしまった方が管理費も手間もかからず安心だ」と考える管理者が、無料で空き家を譲り渡すのです。


無償譲渡された古民家にかかる費用

空き家を無償で譲渡されても、のちのち住むにはさまざまな費用がかかります。

行政の手続きからリノベーション費用まで、無料で譲り受けた古民家で快適な生活を送るために必要な費用を確認して、資金計画を立てましょう。


登記費用

購入した物件の所有権を公的に証明する「不動産登記」は、現在義務化されていません。

ただ、物件を悪用されたり奪われたりといったトラブルを防ぐために、古民家を無料でもらった際にも登記の手続きをするのがおすすめです。

手続きには次のような登記費用が発生します。

  • 登録免許税:固定資産税評価額の2%
  • 司法書士代行費用:不動産1件につき数万~5万円
  • 印紙代:200円

登記には所有前の物件に持ち主がいるかなどの違いから3種類があります。

不動産の所有権を譲り受ける場合に該当するのが「所有権移転登記」です。

管轄の法務局での申請時に「登録免許税」がかかります。

無料でもらった物件でも固定資産評価額は0円にならないので、登録免許税は原則支払うと考えておきましょう。

所有権移転登記の申請を司法書士に依頼する際には、別途で手続き代行費用がかかります。

また、物件をもらう際に作成する贈与契約書には、1部につき200円の印紙代が必要です。


譲渡契約書作成費

権利や財産などを他人から譲り受ける際には、後のトラブルを防ぐために、譲渡の概要や条件を元の管理者と明確に共有する「譲渡契約書」を作成します。

無償で譲渡された物件には不動産仲介業者が介入しないため、自身で作成しますが、贈与税に関する調査など専門的で細かな作業が必要です。

そのため、多くの場合弁護士や司法書士といった専門家に譲渡契約書作成費を支払って依頼します。


税金

不動産の無償譲渡では、譲る側、譲られる側にそれぞれ課せられる税金が異なります。

それぞれ個人、法人によっても異なるので、4つのパターンに分けて確認しましょう。

  1. 個人→個人
  2. 個人→法人
  3. 法人→個人
  4. 法人→法人

1のような個人同士の譲渡では、譲られる側にのみ贈与税、登録免許税、不動産取得税の3つが課せられます。
譲る側への課税はありません。

2の場合、譲る個人に所得税、譲られる法人には法人税と登録免許税が必要です。

3では、譲る法人に法人税、譲られる個人に所得税、登録免許税、不動産取得税がかかります。

そして4は、2・3の組み合わせです。譲る法人に法人税、譲られる法人には2と同様に法人税と登録免許税が課せられます。


リフォーム・修繕費用

物件の状態や広さにもよりますが、古民家全体のリフォームには数1000万円かかることが多いです。

部分的なリフォームでも、数百万円はかかります。

詳しいリフォーム内容やリノベーション事例は以下の記事で紹介しているので、ぜひ参考にしてください。


古民家リノベーションの費用や実例!安く抑える方法や手順もご紹介>>


リノベーションした古民家で充実した暮らしを

無料でもらった古民家にも、登録免許税や贈与税などの税金がかかります。

雨漏りの修理やシロアリ対策、耐震工事など、リノベーションにもお金がかかることを理解しましょう。


ハレノヒ住まいは、物件探しや土地の調査などから承っています。

物件の良さを活かし、自然素材のぬくもりと現代の便利さを調和させた古民家リノベーションがハレノヒ住まいの特徴です。

資金計画のご相談もお受けできるので、ぜひご相談ください。

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