古民家は「夏は涼しく冬寒い」といわれるように、冬に冷え込みやすいのが難点です。
しかし、適した暖房方法がわかれば、古民家でも暖かい冬を迎えることができます。
暖房器具でいえば、ガスファンヒーターや薪ストーブ、床暖房などがおすすめです。
今回は、古民家に効果的な寒さ対策と、古民家が寒くなる理由について解説します。
古民家で暖かい冬を迎えるためには、古民家にマッチした暖房器具を選ぶことが大切です。
古民家におすすめの暖房器具と、その理由をご紹介します。
ガスファンヒーターの魅力は、圧倒的な速暖性と、広範囲に温風を届けるパワフルさです。
スイッチを入れて約5秒で温風が出るうえ、パワーの強さも抜群です。
朝一番の冷えた部屋も瞬時に暖まり、天井が高く部屋が広い古民家でも、隅々まで暖かい風が行き渡ります。
また、ガスは燃焼するときに水分を発生させるため、部屋の乾燥防止にも役立ちます。
ガスコードをつないで使用することから、燃料補給の手間がなく、燃料切れの心配もありません。
ガス代が気になるところですが、意外にも低燃費で家計にやさしい仕様です。
興味のある方は、お近くのガスショップなどでチェックしてみてください。
薪ストーブの暖かさは、ストーブ本体が発する遠赤外線の輻射熱(ふくしゃねつ)です。
輻射熱は身体を芯からじんわりと暖め、ポカポカと心地よい暖かさで包んでくれます。
速暖性はないですが、薪をくべるのをやめても暖かさが続くのが薪ストーブの特長です。
また、薪ストーブはインテリア性も高く、古民家との相性はぴったり。
ゆらゆらと揺らめく炎を見ながら暖をとる暮らしは、まさにスローライフといえる趣です。
電気代やガス代がかからない反面、薪を手に入れたり、定期的なメンテナンスをしたりと一定の手間はかかります。
薪集めや薪割り、道具のお手入れなどを楽しめる方に向いている暖房器具といえます。
寒冷地で最も一般的な暖房器具は、灯油を燃料とする暖房器具です。
その代表格となるのが、石油ストーブ。石油ストーブの暖かさは、薪ストーブと同じく遠赤外線の輻射熱です。
広い部屋でも全体をじんわりムラなく暖めてくれます。
給油の手間はあるものの、慣れれば取り扱いが簡単なので、石油ストーブを一度使うと手放せないという方は少なくありません。
また、石油ストーブは電源を必要としないため移動も簡単。
リビング、寝室、屋外など、1台をさまざまな場所で使うことができます。
災害時などライフラインの供給がストップしたときにも役立ちます。
古民家は床下に風が通っていることから、床から冷気が伝わりやすくなっています。
床の断熱性能を上げつつ足元から暖めてくれる床暖房は、古民家の寒さ対策として効率のいい方法です。
火を使いたくない、温風が苦手という方も、床暖房であればストレスなく暖かい部屋を手に入れることができます。
ただし、床暖房の導入には大掛かりな工事が必要です。
費用もそれなりにかかるため、古民家リノベーションで床の張り替えを行うタイミングなどで設置できると工事期間や費用を抑えられるでしょう。
古民家リノベーションを検討している方は、床暖房の導入も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
古民家の寒さ対策を行うときは、寒くなる原因を理解することが大切です。
主な原因を3つご紹介しますので、今お住まいの古民家、あるいはこれから購入しようとしている古民家がどうなのかイメージしながら見ていきましょう。
古民家が寒いと感じる要因のひとつは、隙間風です。
無垢材は「湿度が高いと膨らみ、湿度が低いと縮む」という性質をもっています。
湿度の低い冬は木が縮むため、窓や建具などに隙間が生まれやすくなり、そこから冷たい風が吹き込んでくるのです。
また、古民家は窓が広く、壁の少ないつくりです。
縁側には大開口があり、部屋と部屋は壁ではなく障子や襖で仕切られています。
気密性の高い現代の住まいと比べると、古民家は隙間風が入りやすい環境といえます。
反面、通気性という面では優秀です。夏にエアコンを使わずとも涼しく過ごせるのは、この隙間風のおかげでもあります。
古民家は、断熱材が使われていないことがほとんどです。
現代の住まいは、さまざまな方法により断熱性能が高くなっているため、新たに古民家暮らしを始める方は、特に寒いと感じるかもしれません。
古民家に断熱材が入っていないのは、単純に断熱材が普及する前に建築されているということのほかに、伝統工法も影響しています。
伝統工法は、湿度が高い日本の夏に合わせ、湿気によって建物の構造体がカビなどに侵食されないように、熱(湿気)を逃す構造になっているのです。
とはいえ、ライフスタイルが変化している現代では何らかの断熱対策は必要です。
断熱リフォームを行うときは、湿気対策も併せて行うようにしましょう。
冷気は下へ、暖気は上に流れていく「コールドドラフト」という現象があります。いわゆる「底冷え」の状態です。
コールドドラフト現象は暖かい空気が冷たい窓ガラスなどに触れて冷やされ、冷気になって室内の下層に流れ込むことで生じます。
冷気は暖気より重いため、冷たい空気が足元に停滞してしまうのです。
コールドドラフト現象はどんな住まいでも起こる可能性がありますが、窓が多く天井が高い古民家は、特に発生しやすい環境といえます。
コールドドラフト現象が起こると、いくら暖房器具で部屋を暖めても、部屋の下のほうは寒いままです。
これを防ぐためには、窓の冷気対策と、暖かい空気を下に降ろす工夫が必要となります。
例えば、天井にプロペラを設置して暖かい空気を足元まで循環させる方法です。これに床暖房を加えれば、さらに万全な寒さ対策になります。
古民家が冷える原因がわかると、どんな対策が効果的なのかがわかりやすくなってきます。
ここでは、比較的簡単にできて効果を実感しやすい寒さ対策を3つご紹介します。 それぞれを組み合わせて導入するのもおすすめです。
古民家の寒さ対策を考えるうえで、「窓」は重要なポイントです。
二重窓とは、既存の窓の室内側に新しく取り付ける窓サッシのことです。
窓と窓の間に生まれる空気層が、断熱材のような役割を果たしてくれます。
一方、ペアガラスは、ガラスが二重になっている窓ガラスのこと。
二重窓ではサッシが二重になるのに対し、ペアガラスはガラスのみが二重になります。
二重窓やペアガラスは、前述のコールドドラフト現象対策としても有効です。導入が難しいときは、窓に断熱シートを貼るだけでも寒さ対策になります。
古民家の室内全体を暖めるのが困難なときは、発想を変えて「一箇所に暖かい場所をつくる」という選択もあります。
こたつや囲炉裏は、一箇所に集まって暖をとるのに適した器具です。家族団らんにも最適ですし、消費電力が少ないため光熱費の節約にも役立ちます。
古民家の雰囲気によく似合う掘りごたつの施工も可能ですので、ぜひご相談ください。
古民家暮らしを楽しむためには、冬の寒さに備える方法を知っておくことが大切です。
適切な寒さ対策は、古民家の状態やライフスタイル、ご予算などによって変わります。
現状を見極めて優先順位を決め、ご自身の生活スタイルに合った暖房方法で快適な冬を過ごしましょう。
窓や建具の隙間に「隙間テープ」で埋めるだけでも隙間風対策になるので、既に古民家にお住まいで寒さに悩まれている方は試してみるとよいでしょう。
ただ、あくまで取り急ぎの対策になり、寒さを根本的に解決するには 窓以外の構造からきちんと断熱リフォームを行なう必要があります。
ハレノヒ住まいでは寒さ対策をはじめ、古民家暮らしのお困りごとに幅広くお応えしています。
それぞれのお悩みに合ったご提案をさせていただきますので、ぜひお気軽にご相談ください。