もともとエアコンを取り付ける想定で造られていない古民家に、エアコンを設置できるか気になっている方はいらっしゃいませんか?古民家をはじめ、古い家でもエアコンの設置は可能です。ただし、取り付けの際にはいくつか気をつけたいことがあります。
今回は、古民家に取り付け可能なエアコンの種類や設置する手順、さらに費用相場やエアコンが効かないときの対処法も解説します。
古民家に取り付けられるエアコンの種類は大きく分けて3つあります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
種類 | 特徴 |
壁掛けエアコン | ● 天井付近の壁に取り付ける一般的なエアコン ● 室内機と室外機をつなぐ取り付け工事が必要 ● 種類や機能が豊富 |
床置きエアコン | ● 壁付近の床に置くエアコン ● 低い位置から送風されるため暖房効率が高い ● 吹き出し口付近に物を置けない ● 室外機のないタイプもある |
窓用エアコン | ● 室内機と室外機の一体型エアコンとなり、窓に取り付けるタイプ ● 取り付け工事不要で自分で設置が可能 ● 運転音が大きく、対応畳数が限られている ● 電気代が高め |
それぞれ取り付け工事の有無、設置する場所、機能、電気代などに違いがあります。ご自身の古民家に適したタイプを選んでいきましょう。
ここでは、家庭用エアコンとして最も普及している壁掛けエアコンを例に、古民家にエアコンを取り付けるときの手順をご紹介します。また、古民家の場合は壁の材質によって特殊な工程が必要になることも。併せてチェックしていきましょう。
エアコンを設置するときの主な手順は以下のとおりです。
エアコンは使用電力が多いため、ブレーカーが頻繁に落ちたり、場合によってはコンセントが熱を帯びたりして火災の原因になってしまうことも。そのため通常のコンセントに加え、エアコンだけに電力を供給する単独のコンセントが必要です。
次に、壁に配管用の穴を開け、それより上の位置に据付板を設置します。据付板とは金属製の板のことです。据付板にエアコンを引っ掛けるようにして取り付け、室外機を設置、固定すれば完了です。
古民家の壁が土壁の場合は、特殊な工程が必要になります。
土壁にはエアコンを固定できるほどの強度がないため、そのままではエアコンを取り付けられません。この場合、まず天井と鴨居などの間に縦桟(たてざん)という部材を取り付け、それに据付板を固定し、エアコンを取り付けます。
また、配管の穴あけ作業をするときは、土壁が崩れてしまわないよう慎重に行う必要があります。目印となるセンター穴を開けた後で、内・外側の両方から少しずつ穴を開けていきます。
古民家でエアコンを設置するときは、エアコンをしっかり固定するための準備と、壁を傷めずに設置する技術が必要です。
ここでは、古民家にエアコンを取り付けるときの費用を見ていきましょう。まずは標準的な設置費用の目安として、一般住宅に取り付けるときの費用相場をご紹介します。
【一般住宅でのエアコン取り付け費用相場】
対応畳数 | 取り付け費用相場 |
6〜12畳 | 13,000円〜17,000円 |
12〜14畳 | 13,000円〜17,000円 |
14畳以上 | 19,000円〜23,000円 |
ただ、古民家の場合はこれまでご紹介したとおり、 専用コンセントの設置、縦桟の取り付け、土壁への穴あけ作業など、一般住宅とは異なる工事が必要になることが多いです。追加工事の費用相場を下記にまとめていますが、古民家の状況に応じて変わるため、あくまで参考として捉えてください。
【追加工事の費用相場】
工事の種類 | 工事の費用相場 |
専用コンセントの設置 | 12,000円〜 |
縦桟の取り付け | 3,000円〜 |
土壁への穴あけ作業 | 5,000円〜15,000円 |
家電量販店でも取り付け工事を行っていますが、古民家の場合は対応してもらえないことも少なくありません。エアコン取り付け業者や、古民家の改修やリフォームを得意とする施工会社などに相談するとよいでしょう。
古民家や古い木造住宅では、新築住宅と比べてエアコンの効きが悪いと感じることがありますが、大きく2つの対処方法があり、1つはエアコンの容量を上げる、もう1つは家の気密性や断熱性を上げる方法です。
エアコンの容量(kW)は対応畳数で表示されていることが多いですが、古民家の場合は天井の高さと気密性の低さを考慮し、表示の畳数より広めのものを選ぶのがポイント。対応畳数に2〜3畳程度足したものを選ぶと、広さと容量のバランスを取りやすくなります。
しかし、根本的な解決を図るには、家の気密性・断熱性を上げることが重要です。主な断熱対策の方法は以下になります。
<家の断熱性を上げる方法>
● 天井や壁、床に断熱材を追加
● 家中の隙間をなくす
● 窓を断熱仕様にリフォームする
室内の熱が最も流出・流入する場所は「窓」。冬の暖房時は窓から58%の熱が流出し、夏の冷房時は窓から73%の熱が入ってくるといわれています。
そのため上記3つの方法のうち、まずは窓の断熱リフォームを行なうのが効果的です。そのうえで、必要に応じて床、壁、天井の断熱を検討してみてください。
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古民家をはじめ古い家でも、エアコンを取り付けることはできます。ただし、冷暖房効率を上げるためには工夫が必要なので、古民家の造りを熟知した施工会社に依頼するのが確実です。
ハレノヒ住まいでは、古民家にまつわるあらゆる工事を手がけております。エアコン設置や、それに伴う断熱工事など、古民家に応じた適切なご提案をいたします。
また、古民家であれば薪ストーブという選択肢もあります。古民家で薪ストーブを設置する方法をご紹介している記事もあるので、興味のある方は以下もご覧ください。