• 古民家の基礎知識

古民家の耐震性と耐震補強の方法とは?費用目安も解説

古民家購入を検討している方にとって「古民家の耐震性」は非常に気になるポイント。これから長く家族の暮らしを守ってもらう住まいでも、古民家の場合はすでに建てられてから何十年も経っている建築物です。耐震工事が追加で必要なのか、どういった工事をすべきか、どれほど費用がかかるのか、といった疑問や不安がたくさん出てきますよね。

今回は古民家の実際の耐震性や耐震補強の工事内容、診断の方法から費用までを解説します。ぜひ最後まで読み進めてみてください。


古民家の耐震性はどのくらい?

ひとくくりに古民家といっても、それぞれ築年数や材木などは異なり、耐震性能も同じように異なります。ただ、一般的に伝統的な古民家は耐震性が低く、耐震補強する必要があると言われているのも事実です。

ですが、これに実は深い事情があります。古民家の特徴から耐震性について解説します。


伝統的な工法の古民家は耐震性ゼロ?

伝統的な日本の古民家は現代の家と異なる工法で造られており、同じ木造でも構造が全く異なります。一部の古民家には「伝統構法」が使われていますが、これは足元を揺らすことで地震の力を逃がして「免震」する工法です。

以前は、地震に耐えるという発想自体がなかったのですが、現在はコンクリート基礎などでしっかり固めて地震力に対抗する「耐震」が最重要視されています。伝統的な古民家は「免震」構造ではありますが、「耐震」構造にはなっていません。

つまり、現代の基準に適応した耐震診断を受けると、古民家の安全性評価は0点となってしまうのです。

しかし、冒頭の通り、古民家はそれぞれで造りが異なりますので、すべての古民家が地震に弱いわけではありません。実際には地震に強い古民家も存在します。購入する古民家がどの程度の耐震性かどうかを知るためには、専門家にチェックを依頼することが1番の近道です。

 

ここまで述べたのは、古民家の中でも「伝統構法」で建てられた家屋のこと。1950年の建築基準法成立以降、日本の木造家屋はだんだんと構造が変化し、現在の形となります。実際、現在存在している多くの古民家は、その変遷の中で「古民家の見た目をしているけれど伝統構法になっていない中途半端な家屋」です。

そのような家屋は、伝統構法で免震されていた古民家の足元に、「在来工法」に基づいて無理やりコンクリート基礎を施しているため、免震機能がなくなっています。在来工法とは、現在の新築木造住宅のほとんどに使われている新しい建築方法。「耐震」を目的としているので、本来の足元に施されていた「免震」の効果を補強することはできません。



また(耐震性を強めるために柱と柱の間にたすき掛けする部材)が入っておらず柱を隠すような土壁にしており、倒壊しやすい危険な構造となっています。1981年の新耐震基準が施行されるまでは、大部分が安全性の低い家屋であるという現状です。

つまり、1950年の建築基準法から1981年の新耐震基準までに建築された木造住宅は、免震構造ではなく耐震性が低いため、建築時期の正確な診断をもとにしっかりとした耐震補強が必須です。ハレノヒ住まいには古民家鑑定士が在籍しているため、問題がない状態でご紹介しますが、もしご自身で購入する場合には、その古民家が「どの時期に建てられたのか」のかをきちんと把握しておきましょう。



実際、伝統構法で建てられた古民家はかなり少ないのが現状です。診断して在来工法と判明した古民家の耐震補強は、基本的に筋交いや制震ダンパーを用いるなど、元ある基礎を「固める」方向になります。
ただ耐震工事についてよく分からない方は、どこをどのように補強すればいいのか悩みますよね。ここでは古民家を耐震補強するための具体的な方法について解説します。

各部位によって補強法やポイントが異なるため、一つ一つ確認しておきましょう。


まずは「地盤」と「基礎」をしっかり補強し安定させることが第一ステップです。基礎部分は、一般的な住宅では在来工法なのに対し、古民家では基本的に伝統構法で作られています。

基礎が整っていなかったり地盤が軟弱だったりすると地震動が増大する可能性が高く、安全な古民家とは言えません。そのため柱や壁を強化するよりも先に地盤や基礎を見直しましょう。



古民家の中には基礎がない場合も多いため「曳家・ジャッキアップ」という方法を使い、基礎・土台を造る必要があります。「曳家」とは家の形を維持したまま別の場所へ移動すること、「ジャッキアップ」とは場所は変えずに家を地面と垂直方向に持ち上げる手法です。また基礎・土台・柱を金物でしっかりと連結し、建物の強度をさらに高めます。



基礎を固めると、自然災害に強い家屋に生まれ変わるだけでなく、家の寿命を長持ちさせる効果もあるので、安定化には欠かせない工程です。

 

地盤・基礎の次に重要なのが屋根や壁を支える「柱」です。柱がしっかり整っていないと地震力を直に受け、家屋が損壊する可能性が高まります。

劣化した古民家は、柱が傾いていたり損傷したりしている場合が非常に多く見られます。そのため柱と柱の間に筋交いを入れる、柱を金属でつなぐ、添え柱などで補強する、もしくは新しい柱に変えるといった処置を必ず行わなければなりません。



また、柱脚と呼ばれる柱の足元を安定化させることも大切です。この際、下部だけをガチガチに固めれば良いわけではなく、上部構造とのバランスが重要。柱脚に腐朽・損傷がある場合は、すぐに取り替えて柱の軸を補強する必要があります。


耐力壁の設置

ほとんどの古民家には草や土を混ぜた天然由来の「塗り壁」が使用されています。しかし、塗り壁はひび割れしやすく、もろいのが特徴。ひび割れは地震が起こった時に壁が崩れやすくなる原因の一つとなりますので、注意が必要です。

具体的な対策として「耐力壁」を設置するようにしましょう。耐力壁とは地震の横揺れや台風による強風など、水平方向からの力に抵抗し建物を強く支える役割をもつ壁のことです。柱と梁の間に耐力壁を設置すると、十分な耐震力を備えられます。

 

伝統的な古民家は瓦屋根が使われています。瓦屋根は、現在の新築木造住宅で使われている屋根に比べると重く、地震による縦揺れや台風に強いメリットがあるのが特徴です。

しかし、古民家の耐震性強化には、「免震」の伝統構法ではなく「耐震」を目的とした在来工法を採用します。

在来工法で建てられた現代の新築住宅の屋根は「スレート」や「アスファルトシングル」といった軽量のものが多いです。そのため、工法に合わせて屋根材も軽量のものを採用した方が工法との相性もよく、耐震に繋がります。

軽量化の例として、瓦屋根の下地となる葺き土を取り除く、または鉄板などの軽い屋根に取り替える対策を行います。

ただし軽くしすぎると強風に対抗できなくなるので、屋根の固定にも注意してください。

 

古民家のように長い時を経た建物は、湿気や雨水などによって建材が腐食している可能性大です。腐食している部分が多いと、建物全体の劣化が著しく進み、強度が一段と落ちてしまいます。

またシロアリの発生も建物の劣化を進める大きな要因です。シロアリは柱や壁を食い荒らすため、家の土台である建材がボロボロとなり、結果的に耐震性が損なわれます。

そのため腐食やシロアリの対策は非常に重要です。早めに木材を交換し、シロアリ駆除を行いましょう。

ハレノヒでは鑑定士が建物の劣化をきちんと診断し、シロアリ対策を徹底的に行なっています。もし建材の腐食が進んでいる場合、木材を新しいものに変えることになるので、それに合わせて建築方法も在来工法が適切です。


古民家の耐震補強にかかる費用

古民家の耐震補強工事は、150万円程度が相場と言われています。昭和55年以前に建てられた家屋であれば、さらに金額が上がってしまうため、170万円ほどかかる場合も。

劣化が進んでいる場合は大がかりな補強工事が必要となるため、それだけ費用は高くなります。またリノベーションも同時に行う場合であれば、総額1000万円超えも少なくありません。

古民家の耐震工事は現代の一般家屋より高額になる傾向があり、決して安い金額ではないです。

しかしどんなに高額であっても安全性を確保するために古民家の補強工事は必須です。耐震補強工事の実施率は全体で約28%程度しかなく、古民家のほとんどが補強工事を必要とする状態のままで放置されています。

補助金を活用した万全な耐震工事で、古民家ならではのレトロな魅力は保ちつつ、安心できる古民家暮らしを実現しましょう。


耐震補強工事に関する補助|静岡県木造住宅耐震補強ITナビゲーション 耐震ナビ>>


まずは耐震診断を依頼しよう

伝統構法で建てられた家屋は、古民家鑑定士や伝統再築士、古材鑑定士といった専門家に建物の状態を判断してもらうのがおすすめ。また建築基準法以降の木造家屋は、必ず耐震診断を受けてくださいね。

ハレノヒ住まいでは、施工時に現代の基準に合わせるだけでなく、上記3つの資格をもつ鑑定士が補強の程度や範囲を漏れなく鑑定した上で耐震工事を施しています。

信頼できる古民家鑑定士・伝統再築士を選ぶことが古民家再生への第一歩です。耐震性能で不安があるといった方は、お気楽にご相談ください。


お問い合わせはコチラ>>

お問い合わせはこちら
054-282-6681

営業時間 9:00-18:00(定休日:日曜日)