古民家をリノベーションした宿泊施設やカフェなどの出店により、日々の生活の中で古民家に触れる機会が増えてきた昨今。田舎暮らしへの憧れや、自治体による空き家活用プロジェクトなども影響し、住まいの選択肢として古民家を検討されている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、古民家の魅力を深堀りするとともに、購入前に知っておいていただきたい注意点をご紹介します。
日本ならではの伝統的な建築美があり、長く住むほど味わいを増す古民家は、自分らしい豊かな暮らしを求める方にとって、とても居心地の良い場所になるはずです。ここではそんな古民家の魅力を、間取り、素材、自然との調和の3つの観点から見ていきます。
ゆったりと過ごせる広々とした間取りは、古民家がもつ大きな魅力。単純に敷地が広いということもありますが、部屋数の調節ができたり、縁側や土間など内と外をゆるやかにつなぐ空間があったりと、きっちりと境界線を引かないのが古民家の良さです。
たとえば、部屋と部屋を仕切るのは壁ではなく襖なので、襖を取り外せば広いワンルームのように使うことも。逆に個室を確保したければ、襖を閉めたり壁を造作したりすることでプライベート空間を確保できます。
また、天井板を外して梁を見せる仕様にすれば、縦方向にも空間が広がり、さらに開放的な空間に。立派な梁やどっしりと構える大黒柱には、住まう人を見守るような頼もしさと温かさを感じます。
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コンクリートや合板などがなかった時代に建てられた古民家は、そのほとんどが天然素材でできています。柱や梁、壁には、ケヤキ・松・杉・ヒノキなどの天然木が使われ、塗り壁には漆喰や珪藻土などの土が使用されています。建具は木や和紙できており、使う塗料も柿渋やベンガラなどの天然素材です。
太い松を丸太のまま使った梁などの素材は、現代では手に入りにくい希少な木材ばかり。そして何より、経年で美しさを増す天然素材の趣には、人々の心を自然に癒す力があります。有害な化学物質を含まないため、小さなお子さんがいるご家庭も安心して暮らせますね。
古民家は、自分らしい豊かな暮らしを求める方にぴったりと寄り添う住まい。シニア世代、子育て世代、若者世代と幅広い層に人気を集める所以です。
自然との調和は、古民家の原点にある考え方です。
夏の日差しを遮り、冬の日差しを採り入れる軒、調湿性を発揮して室内の湿度を調節する木材や土壁。縁側に腰をかければ、庭の草木を眺められ、四季のうつろいを感じることができます。また、古民家が醸す風情のある外観は、自然の中にすっと溶け込みます。
さらに、現代住宅のように地震エネルギーに「耐える耐震構造」ではなく「吸収して逃す免震構造」である建築技術も、自然と共に生きようとした先人たちの知恵の賜物です。また、家が密集していない田舎であれば、騒音トラブルなどに悩まされることも少なく、庭で気兼ねなくバーベキューやアウトドアを楽しむことができますね。
このように、外とのつながりや調和を重んじる点は古民家の大きな魅力です。ご飯を食べて寝るための家から、暮らすことを楽しむための家へ。自然と共生することは決して便利なことばかりではありませんが、だからこそ得られる発見や面白さがあるのです。
古民家には現代住宅にはない魅力がある一方で、注意しておきたいこともあります。古民家暮らしを検討されている方は、住み始めてから後悔することのないよう事前に押さえておきましょう。
田舎での古民家暮らしを希望されているのであれば、ライフラインの状態は必ず確認しておきたいところです。上下水道が整備されておらず、井戸水を使用したり浄化槽で排水処理をしたりと、今とは使い勝手が異なるケースも珍しくありません。
加えて、水道管やガス管が老朽化していて引き直し工事が必要になることも。住むまでに時間を要したり、予想よりも費用がかかったりしてしまう事例は多いものです。
食品や日用品を購入できるお店、病院や役所など暮らしに必要な施設との距離もポイントです。ストレスなく往来できるか距離かどうか、あらかじめ確認しておくと安心でしょう。また、田舎暮らしであれば自家用車が必須になることが多いですが、病気やケガをしたときや老後の暮らしも踏まえ、交通手段をチェックしておくことも大切です。
古民家のほとんどは、購入後にリフォームやリノベーションが必要となることが多いです。どんな工事がどの程度必要になるかは物件の状態によってさまざまですが、工事事例としては以下のようなものが挙げられます。
・耐震補強 ・断熱工事 ・雨漏りによる屋根補修 ・シロアリ被害に対する工事 ・壁、床、建具の補修 ・水道、電気、ガス配管の整備 ・水回り設備の一新 |
劣化した部分を改修するのはもちろん、古民家は「夏涼しく冬寒い」といわれるように、快適に暮らすためには断熱対策も検討したいところ。また、水回りなどの住宅設備は消耗品なので最新設備に交換されるケースが多いです。
古民家再生では、古民家の構造を熟知した職人の技術が必要だったり、同じ部材を使いたい場合は調達コストがかさんだりと、現代住宅とは異なる部分で費用が発生しがちです。買うのは安いが改修に時間と費用を要するのが古民家の特徴ともいえます。こうした手間を楽しめるかどうかがポイントになるでしょう。
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古民家のある地域には代々住んでいる人が多く、その土地ならではの慣習があることも多いです。都市では、現代の便利なサービスを利用しながら独立して生活していくことも可能ですが、田舎ではコミュニティの中で助け合いながら生活を営む側面があります。
そういった地域の人々との連携が生き生きとした暮らしにつながることもある一方で、ご近所付き合いが苦手な方にはストレスを感じてしまう場面もあるかもしれません。たとえば、地域のお祭りで役割を任せられたり消防団へ参加を勧められたり。住もうとしている地域にどんな文化的背景があるかは事前に知っておくといいでしょう。
自然と調和する古民家での暮らしは、日本の原風景に身を置くことの心地よさを感じられるとともに、自分のお気に入りの空間を少しずつ作り上げていく喜びを味わえるもの。これは新築ではなかなか味わえない醍醐味です。一方で、メンテナンスに費用や手間がかかる点は事前に理解し、それに備えた準備が必要になります。
ハレノヒ住まいでは古民家リノベーションはもちろん、物件探しからサポートさせていただいています。リノベーションのプランニング・施工はもちろん資金計画までサポートいたします。静岡で古民家暮らしを検討されている方は、ぜひお気軽にお声がけください。