• 古民家の基礎知識

古民家の減築リフォームの例とメリット・デメリット


減築とは、「建物の床面積を減らすこと」をいいます。お子さんが独立したご家庭や、高齢になりコンパクトな住まいを希望されるご家庭などで行うことのあるリフォームです。

そこで今回は、古民家における減築リフォームの事例とメリット・デメリットを解説します。減築リフォームのポイントを知り、ライフスタイルに合った住まいの形を見つけましょう。

古民家の減築リフォームの例

古民家の減築リフォーム費用は、1㎡あたり10.5万〜15万円程度が大まかな目安です。ただ、建物の構造や状態、内外装の仕上げ方によって費用に差が生まれるため、できるだけ早いタイミングで古民家改修に詳しい設計・施工会社に相談するのがおすすめです。それでは、古民家の減築リフォーム事例をご紹介します。

吹き抜けを作る

二階の一部の床を取り、吹き抜けにするリフォームも減築に含まれます。吹き抜けリフォームは、明るく開放的な空間にしたい、夏涼しく過ごしたい、家全体の温度を一定に保ちたい、といった場合に効果的な方法です。梁を見せる仕様にすれば、古民家の良さがぐっと際立ちます。

構造や工事面積によって異なりますが、リフォーム費用は100万〜500万円程度が目安です。吹き抜けの利点やリフォーム事例は、こちらの記事を参考にしてみてください。

吹き抜けのある古民家のリフォーム事例 寒さ対策を徹底して冬でも快適な暮らしへ>>

一部の部屋をなくす

一階より二階の面積が少ない「部分二階」の古民家であれば、一階部分の出っぱった部屋をなくすことも可能です。更地になった部分を使って、駐車スペースを広げたり、隣家との間隔を広げたりすることができます。建物の一部を撤去することで、これまで入らなかった自然光が入るようになるなど、日当たりが良くなることも。

解体・撤去費と、壁の内外装の仕上げ費用の目安は、6畳〜8畳くらいの部屋をなくす場合で150万〜200万円程度です。このほか、離れや屋外トイレの撤去も減築に含まれます。母家から独立している建物をなくす工事は、比較的スムーズに行えます。

二階建てを平屋にする

家族が減ったことで二階を使わなくなった、階段の上り下りが負担になってきた、といったときに選択肢に挙がるのが、二階建てを平家にする減築リフォームです

一般的に建築物は、重心が低いほど地震時の揺れに強くなるため、平家にすることで耐震性を上げられる可能性があります。ただし、二階をなくすことで構造が大きく変わるため、物件によってはバランスが悪くなり、それを補う工事が必要になることも。

また、新しい屋根の取り付けが必要になることもあり、リフォーム費用が1,000万円を超えることも珍しくありません。大掛かりな工事となるため、実際にはあまり行われることのないリフォームです。

平屋の魅力については、こちらの記事で詳しく解説しています。

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古民家を減築するメリット

古民家の減築リフォームで得られるメリットは主に、税金や維持費の軽減、耐震性や防犯性の向上、家事負担の軽減やバリアフリー化などです。それぞれ詳しく確認していきましょう。

固定資産税や維持費が安くなる

家屋の固定資産税は、建物の延べ床面積で決まるため、減築によって床面積が減れば固定資産税も安くなります。ただ、築年数が経っている古民家はそもそも固定資産税が安いため、減築による減額メリットを得られないという方もいらっしゃるでしょう。

ちなみに古民家の固定資産税は、リフォームやリノベーションで上がることは少ないです。固定資産税が上がるのは建て替えた場合となり、移築や増築でも上がることがあります

減築によって、家の維持費を抑えられる点もメリットです。部屋が減ればその分修繕する箇所が減ります。また、面積が縮小することで冷暖房効率が良くなり、コストを抑えることにもつながります。

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防犯性が上がる

人の気配がない部屋は、空き巣にとって侵入しやすい場所のひとつです。使っていない部屋に侵入されても気づきにくいことから、繰り返し狙われてしまう可能性も否めません。

減築によって住まいがコンパクトになり、家全体に目が届くようになれば、こうした空き巣被害を未然に防ぐことにもつながります。特に、人気の少ない田舎や郊外で古民家暮らしをされる際は、この点を押さえておくと安心です

耐震性が上がる場合がある

先述したとおり、二階部分を減築する場合は耐震性を高められる場合があります。耐震性に不安のある古民家の場合は、平家にすることで安定することもあるでしょう。

しかし、伝統構法が採用されていることが多い古民家は、地震の揺れを逃す免震構造になっているため、二階をなくしたからといって単純に耐震性が上がるわけではありません。建物は重量に応じた構造で設計されています。減築することによって逆に耐震性が下がってしまうことがある点に注意しましょう。

減築リフォームの際は、建物全体の耐震性の調査・診断を行い、必要に応じて耐震補強工事を行うことが大事です

古民家の耐震性と耐震補強の方法とは?費用目安も解説>>

掃除の負担が減る

広い家に住まわれている方にとって、掃除の負担は少なくありません。部屋は使わなくてもホコリはたまり、窓は汚れるものです。

部屋を減らすなどして床面積を少なくすれば、その分掃除の手間を省けるはずです。特に、年を重ねてからの掃除は大変に感じることが多いもの。減築リフォームは、家事負担を減らしたい方にとってもメリットがあります

古民家の掃除・お手入れの仕方をご紹介!>> 

足腰への負担が減る

二階建てから平家への減築リフォームを希望される方の声として多いのは、「階段の上り下りが大変になってきた」というものです。年を重ねるにつれて足腰が弱くなり、階段の上り下りが負担になったり、場合によっては階段から転落し、ケガをしてしまったりという危険性もあります。

二階建てから平家にしたり、行き来がしづらい部屋をなくしたりすることで、老後も安心して暮らせる住まいを目指せます。将来の介護に備える対策としても有効です。

古民家を減築するデメリット

メリットの多い減築リフォームですが、デメリットがないわけではありません。メリットとデメリットの両方を知り、より良い選択をしていきましょう。

工事中は仮住まいが必要

二階建ての古民家を平家にするなどの大規模な減築リフォームは、住みながらの工事が難しいことが多いです。期間は工事内容にもよりますが、3ヶ月程度かかることも珍しくないため、仮住まいが必要になります。

賃貸物件を仮住まいにする場合は、引越し費用に加え、物件の初期費用と毎月の家賃が発生します。この分をあらかじめ予算に組み込んでおくようにしましょう。

また、短い期間であっても生活スタイルが変わるため、家族間でよく話し合っておくことも大切です。

収納が減る

減築リフォームで住まいをコンパクトにすると、収納スペースが足りなくなり、返って物が片付かなくなりストレスを感じてしまうことがあります

減築リフォームにより収納スペースが不足してしまう場合は、ロフトや小屋裏収納を作るのもひとつです。1.4m以下のロフトや小屋裏収納なら、固定資産税の課税対象になりません。

ただ、長く住まわれている古民家の場合は、断捨離をすることで解決できることが多いです。物を整理する良い機会として前向きに捉えましょう。

リフォーム費用がかかる

これまでご紹介してきたとおり、減築リフォームにはそれなりの費用が必要です。少なくとも100万円程度、多ければ数千万円の費用がかかります

特に費用がかかるのは、屋根、外壁、柱、床に関わる工事です。また古民家の場合は、減築工事に加え耐震補強工事が必要になる場合もあります。加えて、解体時に構造的な劣化が見つかり、別途修繕費用がかかることもあるでしょう。

減築リフォームによって得られることと、かかる工事費用を比較しながら、総合的に判断していくことが大切です。古民家のリノベーション費用については、以下の記事で詳しく解説しています。

古民家リノベーションの費用や実例!安く抑える方法や手順もご紹介>>

登記申請が必要

建物の床面積が変わったり、用途が変わったりした際には、「建物表題変更登記」が必要となります。建物表題変更登記は、変更が生じてから1ヶ月以内に申請する決まりになっているため、忘れずに行いましょう。なお、申請には費用がかかります。

申請時に必要な書類の例としては、以下のようなものがあります。

・所有権証明書(建築確認通知書、建物の検査済証、工事完了引渡証明書など)
・建物図面や各階平面図
・家屋の固定資産税評価証明書

古民家リノベーションのメリットとデメリットをまとめた記事もありますので、こちらもチェックしてみてください。

古民家リノベーションのメリット・デメリットとは>>

古民家の減築リフォームまとめ

減築リフォームをすることによって、暮らしに寄り添った住まいにすることができます。結果的に家を長持ちさせたり、将来の安心につながったりすることもあるでしょう。ただ、少なくない費用がかかるのも事実ですから、今後のライフプランを十分に考慮して検討されることをおすすめします。

ハレノヒ住まいでは、古民家リノベーションや古民家再生を行なっています。古民家を希望の土地へ移築する方法もあり、その際には、希望する広さ、間取り、設備に刷新することが可能です。古民家暮らしにはさまざまな方法があるため、気になることがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

古民家ならではの価値ある古材や、日本の伝統的技術を次の世代に残すべく、皆さまの「住み継ぐ暮らし」を全力でサポートさせていただきます。

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